「ひとつずつ、ひとつずつ」
2020年11月23日、ダンカップ参加のためロボ団伊丹校へ向かう大輝くんは、お母さんと手をつなぎながらずっとその言葉を唱えていました。
ダンカップ練習会でばたこ先生から言われたアドバイス。
今回ご紹介するのは、ロボ団に通いはじめて1年で、お母さんも先生も驚くほどの成長を遂げた、ロボ団伊丹校に通う松本大輝くん、小学校1年生。
ロボ団には、年長の秋から通ってくれています。
【ロボ団との出会い】
「初めは床に寝転がって、先生に乗りかかって笑。全然座っていられなかったのに」
と笑いながら話すばたこ先生とお母さん。
2019年9月、大輝くんが年長の時にJAXAの体験会に参加したのがロボ団との出会いでした。
プログラミングが2020年春から小学校で必修化されると聞いて、もともと興味を持っていた大輝くんのお母さん。
ロボ団とJAXAが連携して作ったコンテンツでの体験会案内チラシを見て、申し込みをされました。
「小さいころからレゴやブロックで遊んでいたこともあって、ものをつくることが好きな子でした」
「子どもには色々な経験をさせてあげたい、好きなことから学んでほしい」と話すお母様。
そんな想いにロボ団はぴったりハマりました。
【ロボ団での試練】
入って間もないころは、レッスン中もなかなか座っていることができず、床で寝てしまったり、先生の背中に乗ったり、、、
大輝くんには2歳年下の弟がいます。
年が近い兄弟をお持ちの親御さんならお分かり頂けると思いますが、
年長さんならまだまだ甘えたい盛りですよね。
伊丹校は、家に加えて、大輝くんが甘えられる場所だったのかもしれません。
そんな大輝くんを伊丹校の講師たちは暖かく見守りながらも、確実に成長へと導いていきます。
例えば、まだひらがなが少し苦手だった大輝くん。
そんな大輝くんに先生は、レッスンが始まる前やロボットを早く作り終えて余った時間を使い、横について1つずつ、クイズの問題と回答を読み上げていきます。
そうすることで、大輝くんでもクイズに取り組めるようにしました。
また、レッスン冒頭でロボ団ノートに目標を書くとき、
先生は大輝くんに今日の目標を言葉で表現してもらい、それをホワイトボードに書きます。そしてそれを大輝くんが書き写す、ということを繰り返していきました。
はじめ時間はかかりましたが、横にサポートの先生が付き、最後書き終わるまで励まします。
同じクラスのお友達も大輝くんが書き終わるのを見守ります。
大輝くんは少しずつ、学び続ける力が身に付いていきました。
【ひとりでダンカップにチャレンジ?!】
ダンカップに出ようと思ったのはお母さんの勧めがきっかけでした。
ただ、通常ダンカップは2人〜3人のチームで出場しますが、スターターで出場する生徒が伊丹校では3名だったため、初の大会に1人で出場することになった大輝くん!
それでも大輝くんは「出る」と言い、「不安でもなかった」とのこと。
根性ある!
「まさかひとりとは思わなくて笑。びっくりしました」(お母様)
ダンカップはそもそも孤独な戦いです。
当日ミッションが伝えられ、与えられた制限時間の中でどれだけ高得点を取れるプログラムを作ることができるか、というもの。
制限時間中はチームメンバー以外とは一切話すことができません。
まわりはみんなチームで出ている中、ダンカップも初参加の大輝くん。
そんな孤独な戦いに、1年生になったばかりで耐えられるでしょうか?!
【全然できなかった練習会、そこでもらったたった1つのアドバイスとは?】
ダンカップ当日までに、伊丹校では2回の練習会がありました。
「普段のレッスンではたくさん声掛けをするので、練習会の時点から講師自身もきつかったです」と話すばたこ先生。
そう、レッスンでは途中つまると先生やお友達がヒントやアドバイスをくれます。
みんなで助け合ってミッションをクリアしていくのです。
でもダンカップはチームメンバー以外一切話すことができません。
そして大輝くんはチームメンバーがいません。。。
大輝くんは他のチームがお友達同士で作戦を練っている姿を見つつ、自分一人でコースに向き合いながらいくつかのプログラミングを組み合わせていました。
何分かしてロボットを走らせますが、うまくいきません。
机に戻ってプログラミングを修正。
コースで動かしてみますが、全然うまくいきません。
そうこうしているうちに制限時間の45分がすぎ、練習会が終了。
今日が終わればもう当日まで練習会はありません。
さすがの大輝くんも不安で一杯です。
そんな大輝くんにばたこ先生が1つだけアドバイスをします。
「ひとつ作ったらコースで走らせてみて。」
「作って動かして、作って動かして、ひとつずつ、ひとつずつね」と。
そう、大輝くんがうまくいかなかったのは、初めに一気にプログラミングを作ってしまったから。
いつものレッスンなら、まずはロボットのタイヤで回転数を計測し、回転数の目星をつけて、あとはロボットを走らせながら微調整をしていくのですが、緊張からかその作業が完全に抜けてしまっていました。
ロボットを動かしてうまく行かなかった時に、どこの部分が間違っているのかをスピーディに見つけることができなかったのです。
【ダンカップ当日】
家から伊丹校へ向かう道のりで、大輝くんはばたこ先生に言われた言葉を忘れないように、ずっと唱えていました、
「ひとつずつ、ひとつずつ」
そして大会が始まりました。
「教室がすごくピリピリしてて」
いつも優しいお兄ちゃん、お姉ちゃんが大会ムードにのまれ、大輝くんや小さい子たちに
「早くして」「ちゃんと並んで」と厳しく注意する場面も。
「泣き出さないか本当に心配でした」(ばたこ先生)
ダンカップは時間との勝負、
ロボットが正しく動作をするか、ロボットをコースの上で動かし、確認しながらプログラミング作成を進めなければいけません。
コースが1台しかない中、ダンカップに参加しているチームは5チーム。
普段のレッスンなら譲り合って使うコースですが、今日は誰もが1秒でも早く動かして、調整して、ミッションをクリアしたい!と思っています。
「ちゃんと並んでよ!」
「早くしてよ!!」
大きなお兄ちゃん、お姉ちゃんも必死です。
そんな中、大輝くんは
「ひとつずつ」
と唱えながら、ひとり、プログラミングを作っては動かし、また作っては動かし、を黙々と冷静に続けます。
途中、モーターの動作がおかしくなった時も、それが、プログラミングが悪いのではなく、モーターの不具合であると判断し、審判に伝え、モーター交換をします。
そうやって、1回目と2回目の調整時間を終え、練習では全く上手くいかなかったにも関わらず、本番はミッションをすべてクリア、金賞を取り、校舎の中で最も高い得点を出すことができました!!
「本当に最後までよく頑張ったなって」
最後のミッション走行が終了。
大人やお友達と喋っていい時間になり、お母さんのそばにいった瞬間、緊張が溶けたのでしょうか、大輝くんは泣いてしまいました。
「本当によく諦めないで頑張ったね、と思ったら涙が溢れてきて」
お母さんも涙が出たそうです。
【ロボ団に通ってみて、お母様より】
ロボ団を通じて大輝くんにたくさんの成長を感じてくださっているお母様。
「どんなところに変化が見られましたか?」
「まずは集中力。家でも机に座っていられなかったのに、今では学校の宿題も終わるまで集中して取り組めるようになりました。
「あとは、忍耐力。難しいことがあると、途中で投げ出していたのですが・・・」
「トライアンドエラー(挑戦・失敗)を繰り返すことで、やり続ければできるという自信が少しづつつくようになり、途中で諦めずにやりきることができるようになったのだと思います」
「授業中、つまずいてもいつも先生が一緒に寄り添ってくれたから、嫌になったりせずに続けてこられました。」
「ロボ団に入ってよかったなぁと思うところは?」
緊急事態宣言の時に
「すぐにロボ団はオンライン配信をしてくれて」
「オンライン授業では、新1年生の子供が長い時間座っていることは思っている以上に難しいです。しかし、子どもが興味を持つよう宝探しや探検を題材にしてくれていたので、楽しく学ぶことができました。まなびを止めてはいけないという先生たちの熱い想いが、私たちにも伝わってきてすごく助けられました!」
「また、子供にとって楽しみがありますね!
それはダン通貨を使って欲しいものが買える仕組みです」
※ダン通貨とは、ロボ団でミッションをクリアしたり、宿題をきちんとしてくるともらえる仮想通貨です。通帳に貯めると利子が付き、貯めたダン通貨を使ってお菓子やおもちゃ、レゴなどが買える、という仕組みです。
「大輝には積極的に物事と関わり、色んなことにチャレンジして学んでいってほしい」
初めは甘えん坊だった大輝くんも今では貯めたダンで弟くんにお菓子を買ってあげる優しくて頼もしいお兄ちゃん。
そんな輪がクラス全体に広がって、大輝くんのいるクラスでは、みんながお父さんやお母さん、兄弟姉妹にダンを使ってプレゼントすることが主流になっているそう。
今日も伊丹校には、そんな温かくて楽しい笑い声が広がっています。