2020年度から、全ての小学校で、プログラミング教育の必修化が始まりました。
保護者の皆さまの中には、プログラミングという馴染みのない教育の必修化に、戸惑いを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、プログラミング教育必修化についてのよくある誤解や、プログラミング教育必修化の狙いなどについて詳しくお伝えします。
プログラミング教育必修化の目的とは?
そもそも、プログラミング教育とは、どういうものなのでしょうか?
文科省の発表は以下のとおりです。
「小学校段階におけるプログラミング教育は、児童がプログラミング言語を覚えたり、 プログラミングの技能を習得したりすることをねらいとするものではありません。」
□引用元リンク先:文部科学省 小学校プログラミング教育の手引(第三版)
では、プログラミング教育必修化は何を目的としているのか。それは、大きく分けて、3つあります。
- ①論理的思考力を育む。
- ②プログラムの働きや、社会が情報技術によって支えられていることなどに気付き、身近な問題の解決に主体的に取り組む態度や、コンピュータ等を活用してより良い社会を築いていこうとする態度などを育む。
- ③教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身につけさせる。
これらの3つは、これからの社会を生き抜く上で非常に大切な力であり、①③の目的はプログラミング的思考を習得することで、効率的に身につけることが出来ます。だからこそ、これら3つの目的を達成するためにプログラミング教育が必修化されました。
プログラミング教育必修化は小学校だけではない
中学校では、技術・家庭科の科目内のプログラミングに関する内容を倍増、高校では、共通必履修科目としてプログラミングを含む「情報I」が新設(2022年度)されました。
□参考元リンク先:文部科学省 教育の情報化の手引き〜プログラミング教育の推進〜
これは、これからのIT社会についていくための最低限の知識を身につけるためです。
プログラミング教育が必修化される背景とは?
プログラミング教育が必修化される理由は、今の日本が、IT力を強く求めているからだと考えられます。
現在、90%の職業で基礎的な ITスキルが必要だと言われており、多くの国や地域が学校教育のカリキュラムの一環として、プログラミング教育を導入しています。
日本でも2030 年までに、80万人ものIT人材が不足すると言われており、IT力は、これからの日本に欠かせ無いものになっています。
だからこそ、子どもの頃から「IT力」を育成して裾野を広げる必要があるという思いから、小学校におけるプログラミング教育の必修化は実現されました。
プログラミング教育必修化のよくある3つの誤解
プログラミング教育必修化について、さまざまなうわさが飛び交い、誤解をしている方も多いと思います。
そこで、プログラミング教育必修化と聞いて思い込みがちな3つの”誤解”について詳しくご説明します。
①プログラミングという科目が作られるわけではない
算数や理科などの既存科目の学習をする手段としてプログラミング教育を行なうため、プログラミングという科目が作られるわけではありません。そのため、教科書もなければ、試験で評価されることもありません。プログラミング的思考を用いた授業展開をすることが想定されているのです。
例えば、「電気を効率良く使うにはどうしたら良いのか」という疑問の場合、センサーなどを用いて電気の働きを自動的に制御することで、より確実に電気の無駄遣いを減らすことかできる。ということを学習します。
また、プログラミングの考え方の一つ「パターン(同じことのセット)」や「ループ(繰り返し)」などを使って算数の単元の理解を深めるなど、ICT機器を使わなくてもできるプログラミング教育もあり、毎回パソコン等を使って授業する訳でもありません。
理科・算数をベースにプログラミング的思考を授業展開が行なわれる
現在は、理科(物質・エネルギー・電気)、算数などの単元が、学習指導要領に例示されていますが、多様な教科、学年、単元等に おいて実施されることが望まれています。算数では、プログラミングを用いて多角形を描くといった課題などがありますが、学習指導要領に例示さているもの以外にも、教科とは別に取り入れることも可能であり、プログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考を身に付けるための学習活動が求められています。
補足:家事でもプログラミング的思考は生きる
毎日忙しくしているお母さんの場合、パートから帰ってきて効率よく掃除・洗濯・料理などを行なう場合、どの順番で行なうのが効率的で早く終わらせることができるのか?を考える人も多いでしょう。
実はこれもプログラミング的思考といえます。
限定的に洗濯を、プログラミング的思考を持って見てみましょう。
- 洗濯機を回す前に衣類をチェック(3分)
- 洗濯機を回して洗剤・柔軟剤を入れる(10秒)
- 完了するまで待つ(20~30分)
- 完了後シワにならないようにすぐに干す(10分)
※干す前に乾燥させていた洗濯物を取り込む(3分)
※取り込んだ洗濯物を畳む
洗濯機での洗濯が完了するまでの間に「掃除機をかける」「料理をつくる」「朝なら化粧をする」「洗濯物を畳みながらテレビを見る」「子供が学校へ行く準備を手伝う」等々。効率的に動くための選択肢はたくさんあり、家事の効率化を図ることができます。
また、掃除機のかけ方にしても、プログラミング的思考を用いることで、どこから掛けると早く・キレイに掃除機をかけられるのかといった段取りを組むことができます。
②プログラミング教育必修化はプログラマー育成が目的ではない
前述した内容でも触れていますが、プログラミング教育の必修化は、決してプログラマーの育成が目的ではありません。
プログラミング的思考を鍛える理由は、社会が、プログラミングで生み出されているサービスで溢れていることを認識させ、その仕組みを知る基礎力を身につけるためです。
そこまでプログラミングが普及していなかった昔は、「なぜ電気がつくのか?」といった身の回りのあたりまえのことを知るために、理科の授業の中で、ケーブルと電池を使って豆電球の電気をつける実験をしました。
現代は、世の中のほとんどのものやサービスにプログラミングが使われているので、身の回りのあたりまえのことを知るには、プログラミング教育を受ける必要があるのです。
また、プログラミングに触れ、ITリテラシーを高めることも目的の一つとなっています。
③プログラミング教育に使うパソコンやタブレットは学校で用意
学校次第ではありますが、すでにあるパソコン室を使ったり、新しくパソコンやタブレットなどのICT機器を導入する予定のため、パソコンやタブレットを各自家庭で用意する必要はありません。
文部科学省の、学校におけるICT環境整備に係る地方財政措置として下記のものが用意されます。
- ・クラスに1クラス分程度の学習者用コンヒピュータ(現在の3.6人に1台から拡充)
- ・全ての普通教室に無線LAN
- ・全ての学校に統合型校務支援システム 等
学校において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT環境を、国が整備する予定となっています。
□参考元リンク先:文部科学省 平成30年度 教育の情報化関係予算(案)
プログラミング教育必修化で保護者が準備するものは?
プログラミング教育必修化にともなって準備するものはありません。必要なものは全て学校側が準備します。
ですが、将来のことを考えて、各自でプログラミングを学ぶのは、とても意義のあることです。なぜなら、学校教育でのプログラミング教育は指導者の育成やカリキュラムが未だ手探りで行なわれているため本来の目的が達成される教育体制が整うには時間がかかる可能性もあるからです。
プログラミング教育を受けることで、プログラミング的思考が身につき、子どもが将来役立つ能力を手にでき、仕事だけでなく様々なことに影響が出てきます。
プログラミング教育が大学受験に影響するようになる
政府は2018年5月17日に開いた未来投資会議で、大学入試センター試験に代わって導入される2024年からの「大学入学共通テスト」に、プログラミングなどの情報科目を導入する方針を確認しました。これは、文理系問わずに情報教育の基礎を習得させることで「第4次産業革命」の牽引役となる国内のAI人材の底上げを狙うためです。
また、慶応義塾大学・総合政策学部/環境情報学部(SFC)が、既に情報での入試選抜を行なっていたり、プログラミングを活用できる中学入試が増えてきたりもしています。(私立中学が対象)
受験対策を考え、学校以外でプログラミングを学ばせるのも、方法のひとつです。
プログラミングは受験対策だけでなく子供の将来への準備になる
プログラミング的思考を身につけるために、プログラミング教育を受ける訳ですが、プログラミング的思考は、学校の授業で身につくほど簡単なものではありません。
プログラミング的思考を身につけることで、論理的に物事を組み立てることができるようになるだけでなく、物事の本質をとらえることができるようになるので、社会に出たときに素晴らしい武器になります。
大きくなればなるほど身につけにくい環境になる
中学・高校になればなるほど中々興味を持ちにくくなる上、遊びや部活で忙しくなります。そのため、小学生のうちから、遊びながら身につけられるよう環境を整えることが大切です。
効率よくプログラミング的思考を身につけるには
効率よくプログラミング的思考を身につけるには、楽しみながらプログラミングに触れることが何よりも大切です。
一般的なプログラミング教室は、PCを使いプログラミング言語を入力して、アプリやゲームの開発、ロボットの制御などを行ないます。
ですが、見たこともないプログラミング言語を使って、パソコンに入力し、何かを作り上げることは難易度も高く、子どもたちもなかなか集中して取り組むことができません。
そのため、ロボ団では、まずロボットを自分で作りあげ、ビジュアル言語と呼ばれているボタンのようなものを組み合わせてロボットを制御するといった簡単なことから始めていきます。教材の内容も、子どもが関心を持ちやすいテーマを扱っています。
レゴでロボットを作り、その作ったロボットが動く様を、目の前で見ることができるので、楽しみながら学習することができます。
もちろん好きなように動かすためには、どのボタンを押せばどのように動くのかを理解したうえで、どのボタンとボタンをどの順番で組み合わせる必要があるのかを考える必要があります。
その過程でたくさんの挑戦と失敗を繰り返すことで、楽しみながらプログラミング的思考を得ることができるのです。ロボ団では「トライ&エラー」を通して「好きを学びに」することで様々な力を身につけることを大切にしています。
ロボ団のレッスンを通しての子どもたちの変化
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