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国際バカロレア(IB)ってどんな教育プログラム?

国際バカロレア(IB)とは

今回は国際バカロレアという教育プログラムについて解説していきます。「海外の大学に入るための資格?」となんとなく聞いたことがあるという方もいらっしゃられるかと思います。国際バカロレアとは、もともと親の転勤などで母国外のインターナショナルスクールに通う子どもたちのために世界共通の大学入学資格を与える目的でスタートしました。

国際バカロレア機構

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)とは、本部がジュネーブにある国際バカロレア機構が提供する教育プログラムのことです。1968年に設置された国際バカロレアは、世界の複雑さを理解し、そのことに対処できる生徒の育成、生徒に対し未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルの装着、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え大学進学へのルートを確保することを目的とした、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムです。現在、国際バカロレア機構では、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施しています。

国際バカロレア(IB)の使命


国際バカロレアは下記のミッションを掲げています。

“The International Baccalaureate® aims to develop inquiring, knowledgeable and caring young people who help to create a better and more peaceful world through intercultural understanding and respect.

To this end the organization works with schools, governments and international organizations to develop challenging programmes of international education and rigorous assessment.

These programmes encourage students across the world to become active, compassionate and lifelong learners who understand that other people, with their differences, can also be right.”

「国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探求心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。この目的のために、IBは学校や政府、国際機構と協力しながら、チャレンジに満ちた国際プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。

IBのプログラムは世界各地で学ぶ児童生徒に、人が持つ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることができる人として、積極的に、そして共通する心をもって生涯にわたって学び続けるように働きかけています。」

つまり「多様性を認め尊重し、国際的視野をもつ人材」を育てていこうとしているのですね。

引用:Our mission – International Baccalaureate® (ibo.org)

IBとは | 文部科学省IB教育推進コンソーシアム (mext.go.jp)

世界の国際バカロレア

国際バカロレア(IB)プログラムを提供している認定校は、2023年1月現在、159の国と地域で約5600校を超えます。世界中の3歳から19歳までの 195 万人以上の学生がIBの教育プログラムを学んでいるのです。

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国際バカロレア(IB)の教育プログラムとは

では国際バカロレア(IB)の教育プログラムとはどのようなプログラムなのでしょうか。

年齢に応じた教育プログラム

グローバル化に適応したスキルを身に付けた人材を育成するために、生徒の年齢に応じて4

段階の教育プログラムを提供しています。

PYP (Primary Years Programme)


3歳から12歳までを対象としたプライマリー・イヤーズ・プログラムは、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラムです。日本でいうと幼稚園と小学校に当たる年齢層ですね。このプログラムはどのような言語でも対応しています。

プライマリー・イヤーズ・プログラムでは

・私たちは誰なのか

・私たちはどのような時代と場所にいるのか

・私たちはどのように自分を表現するか

・世界はどのような仕組みになっているのか

・私たちは自分たちをどう組織しているのか

・この地球を共有するということ

人間の共通性に基づいた以上の6つの教科横断的テーマに取り組みつつ、言語、社会、算数、芸術、理科、体育の6教科を学習します。

MYP(Middle Years Programme)


11歳から16歳までを対象としたミドル・イヤーズ・プログラムでは、青少年にこれまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラムになっています。日本でいうと中学校にあたります。こちらもどのような言語でも対応しています。

言語と文学、言語の習得、個人と社会、理科、数学、芸術、保健体育、デザインの8教科を学習します。

・学習の方法(approaches to learning)

・コミュニティと奉仕活動

・人間の創造性

・多様な環境

・保健教育と社会性の教育

これら5分野の「相互作用のエリア」(AOI:areas of interaction)はすべての教科に適応され、それぞれの教科のみの学びで終わらせることなく、他の教科や実社会との関連性に対して認識を高められるように働きかけます。知識を統合された総体的なものとし、より広く複雑でグローバルな課題に認識を高めることが期待されています。

DP(Diploma Programme)


16歳から19歳を対象としたディプロマ・プログラムは、所定のカリキュラムを2年間履修し最終試験にパスすると、国際的に認められた大学入学資格である国際バカロレア資格が取得できます。ディプロマ・プログラムは、あらゆる言語に対応しているPYP、MYPと違い英語、フランス語、またはスペイン語で実施されます。

ディプロマ・プログラムは、言語と文学(母国語)、言語習得(外国語)、個人と社会、理科、数学、芸術の6つのグループからそれぞれ教科を選択し6科目を学びます。芸術は他のグループの科目に替えることも可能です。6科目のうち、3~4科目を上級レベル(各240時間)に、そのほかを標準レベル(各150時間)で学習します。このほかに、生徒それぞれが関心のある研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4000語の論文にまとめる「課題論文(EE:Extended Essay)」や、知識の本質について考え知識に関する主張を分析し知識の構築に関する問いを探求する「知の理論(TOK:Theory of Knowledge)」、創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り込む「創造性・活動・奉仕(CAS:Creativity/Activity/Service)」の3科目を履修します。

CP(Career-related Program)


キャリア関連プログラムとは、2012年に新設されたプログラムで、16歳から19歳までを対象としたキャリア教育・職業教育に関連したプログラムです。これは卒業後就職を目指す高校生向けのプログラムです。このプログラムでは、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を重視しています。キャリア関連プログラムではディプロマ・プログラムの一部科目とコア科目(学習の方法、コミュニティと奉仕活動、外国語学習、振り返りのプロジェクト)、各学校が行うキャリア関連教育・職業教育の3つの枠組みから構成されています。

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教育方針


国際バカロレアの教育方針として、IBが目指す「国際的視野を持つ人」の人間性として10の「IBの学習者像(The IB Learner Profile)」を掲げています。

Inquirers 探求する人

「私たちは好奇心を育み、探求し研究するスキルを身に付けます。ひとりで学んだり、他の人々と共に学んだりします。熱意をもって学び、学ぶ喜びを生涯通じて持ち続けます。」

Knowledgeable 知識のある人

「私たちは、概念的な理解を深めて活用し、幅広い分野の知識を探求します。地域社会やグローバル社会における重要な課題や考えに取り組みます」

Thinkers 考える人

「私たちは、複雑な問題を分析し、責任ある行動をとるために、批判的かつ創造的に考えるスキルを活用します。率先して理性的で倫理的な判断を下します」

Communicators コミュニケーションができる人

「私たちは、複数の言語やさまざまな方法を用いて、自信をもって創造的に自分自身を表現します。他の人々や他の集団のものの見方に注意深く耳を傾け、効果的に協力し合 います」

Principled 信念をもつ人

「私たちは、誠実かつ正直に、公正な考えと強い正義感をもって行動します。そして、あらゆる人々がもつ尊厳と権利を尊重して行動します。私たちは自分自身の行動とそれを伴う結果に責任を持ちます」

Open-minded 心を開く人

「私たちは、自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、他の人々の価値観や伝統の真価もまた正しく受け止めます。多様な視点を求め、価値を見出し、その経験を糧に成長しようと努めます」

Caring 思いやりのある人

「私たちは思いやりと共感、そして尊重の精神を示します。人の役に立ち、他の人々の生活や私たちを取り巻く世界をよくするために行動します」

Risk-takers 挑戦する人

「私たちは、不確実な事態に対し、熟考と決断力をもって向き合います。ひとりで、または協力して新しい考えや方法を探求します。挑戦と変化に機知に富んだ方法で快活に取り組みます」

Balanced バランスのとれた人

「私たちは、自分自身や他の人々の幸福にとって、私たちの生を構成する知性、身体、心のバランスをとることが大切だと理解しています。また私たちが他の人々や、私たちが住むこの世界と相互に依存していることを認識しています」

Reflective 振り返りができる人

「私たちは、世界について、そして自分の考えや経験について、深く考察します。自分自身の学びと成長を促すため、自分の長所と短所を理解するように努めます」

引用:LP-Japanese-RGB–proof2 (ibo.org)

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日本における国際バカロレア(IB)教育


日本でも、社会の流れに順応できる探究的思考の育成が注目されています。小学校から教科の垣根を越えて、総合的な学習支援を強化していこうというさまざまな動きが起こっています。プログラミング教育の必修化もその流れの一つと言えるでしょう。

そして高校では2020年春より「総合的な探究の時間」という新科目が導入され、複雑化していく社会で生き抜く力を養おうと試みています。この科目は従来の科目のように知識や公式を覚えるのではなく、自主的に考え方を働かせて課題を解決しようという学習です。机上の理論はもちろん大切ですが、その力をどうすれば社会で活かせるかはさらに重要です。他の科目で身につけた知識を統合し、横断的かつ総合的な力を身につけようというのです。このような学習で身につく能力は、これからの時代においてますます重要な役割を果たしていくことでしょう。

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2021年6月閣議決定された「成長戦略2021」


2021年に閣議決定された「成長戦略2021」では2020年に引き続き、国際バカロレアの教育ノウハウを幅広く展開しようと主導するコンソーシアムの設立や、国際バカロレア機構との連携を推進していくことが決定しました。

国内における国際バカロレア認定校等を2022年度までに200校以上を目標

その中で政府は、国際バカロレアの認定校を2022年度までに200校以上とする目標を掲げています。国内でのIB教育をさらに推進していく方針です。

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国際バカロレア認定校数

2022年6月の時点では日本国内の国際バカロレア認定校は177校に登っています。当初目的を掲げた2013年から順調に増加しているのですが、2022年に200校以上という目標には届きそうにありません。しかしバカロレア教育を推進していくという政府の方針は変わりなさそうなので、これからも認定校の増加が見込まれています。

平成25年度から科目の一部を日本語でも実施可能とする「日本語DP」の開発・導入を推進

平成25年の5月、文部科学省と国際バカロレア機構は「日本語DP(デュアルランゲージ・プログラム)」の共同開発に合意しました。国際バカロレア学習の一部を日本語で学べるようにしようという試みです。従来の国際バカロレアのDPを全て英語で学ぶのはインターナショナルスクールの生徒でもハードルがありました。しかし、その一部を日本語にすることで英語が得意な生徒や帰国生にとっても学びやすくなり、バカロレア教育の門戸が広がっているのです。

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日本語DP実施校


現在国内で日本語DPを実施している学校は32校です。国際バカロレアデュプロマの30科目のうち「日本語(文学)」「歴史」「経済」「科学」「生物」「数学」「物理」の7科目を日本語で学ぶことができます。また、3つの要件(コア科目)と言われるTOK(Theory of Knowledge:知の理論)、EE(Extended  Essay:課題論文)、CAS(Creativity,Activity,Service:創造性,活動,奉仕)も日本語で学習できます。

これらの3要件が日本語で学習できるというのはある意味では当然のことです。特にCASには部活動や委員会活動、地域でのボランティア活動といったものが含まれるので、現在の日本社会でこれらの活動を英語・フランス語・スペイン語で行おうというのは現実的ではないからです。

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国際バカロレア認定校インターナショナルスクールと一条校のメリット・デメリット


国際バカロレア認定校のほとんどはインターナショナルスクールです。しかし、多くのインターナショナルスクールは学費が高額であったり、やむを得ない場合を除き国内の学校への転校や進学ができないなど様々な制限があります。一度インターナショナルスクールへ通うと、その後もずっとインターナショナルスクールへ通わざるを得ないのです。「インター縛り」と言われるインターナショナルスクール特有のデメリットです。

しかし最近では「一条校」と言われる「学校教育法第一条で定められた学校」、つまり一般的な学校の中でも、国際バカロレア認定を受けた学校が現れ始めました。その数はまだ多くはありませんが、フレキシブルな進路選択ができるうえに国際バカロレア規格の学習ができるということで注目が集まっています。

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インターナショナルスクール

そもそもほとんどのインターナショナルスクールは「学校教育法第一条で定められた学校」に該当しません。もともとインターナショナルスクールとは「日本にいる外国籍の生徒のための教育施設」として設立・発展してきたからです。「日本国内で国際的な教育を受ける」ための学校や外国語学校とは目的が違うのです。入学の際も、子供だけでなく保護者(少なくとも父母のどちらか)に英語力が求められます。授業だけでなく、学校との連絡やお知らせも英語で行われるからです。

そして、義務教育期間である小学校〜中学校をインターナショナルスクールで過ごした生徒は、ほとんどの場合そのまま日本の高校へ進学することはできません。別途中卒認定試験(中学校卒業程度認定試験)に合格する必要があります。また、大学入試に際しても「文部省が高等学校総統として指定した学校」や「国際的な評価団体の認定を受けた学校」でなければ高校卒業資格が認められないので、高卒認定試験に合格する必要があります。将来海外の高校や大学を受験することが間違いないのなら問題は無く、むしろ世界への扉が開かれると言えますが、一般的な日本の高校・大学に進学するには負担が大きいと言えます。

インターナショナルスクールはあくまで「日本で過ごす外国籍の生徒のための学校」であり、「日本にいながらにして国際交流ができる学校」ではないのです。

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一条校

それに対して「一条校」は日本の法律で認められた学校です。中学を卒業すれば高校受験資格を、高校を卒業すれば大学受験資格をほぼ無条件で得ることができます。入学や転入の規定も一般的ですし、学費も経済状況に合わせて私立・公立の見合った学校を選択することができます。通常の授業や学校からのお知らせ・連絡は日本語で行われるので、こと日本国内に限っては、インターナショナルスクールに比べて保護者の負担は少なく、子どもの選択肢はより広いといって良いでしょう。

学校教育法第一条に規定されている国際バカロレア認定校

一条校でありながら、国際バカロレア認定されている学校は現在59校です。学校教育法関係の法令に定められた基準と国際バカロレア機構が定める教育課程の両方を満たす必要があるのでハードルは高く、その数はまだまだ限られています。しかし国際化が進むうえに、少子化が危惧されている日本では、バカロレア認定を受けてより良い教育環境を提供して生徒を集めようという学校はますます増え続けていくことでしょう

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日本の代表的な国際バカロレア(IB)認定校

その中でも日本を代表する国際バカロレア認定校をご紹介します。

K.インターナショナルスクール東京

ケイ・インターナショナルスクール東京(KST)は1997年に設立されたインターナショナルスクールです。「Learning for Life」をモットーに、高い学習意欲と国際的視点を持った子どもを育てること、特に言語力と数学力の向上を重視している点が特徴です

都内の学校としては唯一、幼稚部でのPYP(3歳)から高等部のDP(18歳)まで、国際バカロレア資格カリキュラムによる教育を一貫で行っています。そのためか日本にある国際バカロレアディプロマプログラムを提供する学校においてトップクラスの成績を収めており、2015年のディプロマプログラム試験では45点満点中36点という高い平均点をマークしました。その後も2019年の試験では平均点を39点にまで押し上げ、5,000校以上あるあ世界のバカロレア認定校ランキングで12位にランクインしています。

また、CIS(Council of International Schools)の完全認可を受けているため、インターナショナルスクールでありながら大学入学資格が認められます。そのうえ特定の宗教を基盤とせず男女ともに通える共学校ということもあり、非常に人気のある学校です。

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関西学院千里国際中等部・高等部

関西学院千里国際中等部・高等部は、同じキャンパスに併設された大阪インターナショナルスクールと「二つで一つの学校」というユニークな体制をとっています。関西学院は一条校でありながら同じキャンパスの中にインターナショナルスクールを併設し、子どもたちは学校生活のさまざまな部分で交流し、ともに学んでいるのです。このシェアードプログラムという、一部の授業だけでなく文化祭や体育祭などの学校行事、クラブ活動や生徒会活動などを合同で行う試みは日本で初めてのことです。授業だけでなく学校生活全般を国際交流の場にすることで、インターナショナルな感覚や視点が養われるとして注目されています。

東京学芸大学付属国際中等教育学校

東京学芸大学附属国際中等教育学校は国公立で初めての国際バカロレア認定校です。その前身である東京学芸大学附属大泉中学校と同大学附属高校大泉校舎は帰国子女の教育で実績を残した学校でした。その2校が統合・再編され2007年に開校したのがこの学校です。文部科学省の学習指導要領に則り、国際バカロレアMYP(Middle Years Program)と日本語DP(Diploma Program)の規定に従い、日本語で教えています。

全校生徒の約40%が帰国生であり、その滞在国数は56カ国に及びます。ほとんどのインターナショナルスクールの生徒の国籍は多くても30カ国程度なのに比べると、その国際性が窺えます。また一般生・帰国生・外国籍の生徒が一緒に学ぶことで、一般生も自然と海外への進学を意識するという、生徒が互いに影響し合い自主的に自分の将来を考え出すという効果が生まれているようです。海外の学校へ進学することが特別なことではなく、一つの選択肢として自然に考えることができる教育が行われています。

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静岡サレジオ幼稚園・小学校・中学校・高等学校

静岡サレジオは日本で初めて、そして唯一PYP、MYP、DPの資格を取得できる学校です。幼稚園から始まり、小・中・高校とバカロレア一貫校ともいうべき教育体制が整っています。理事長の末吉弘治氏はその取り組みを「日本の教育制度に対する挑戦」と表現しています。一貫して切れ目なくバカロレア教育を行うことで、大学進学がゴールではなく、生涯学び続けることのできる学び方を習得することを目指しています。英語や数学といった特定の科目だけに重点を置くのではなく、学び続ける姿勢と習慣を大切にし、自ら思考・判断・表現できるようになる教育を目指しているのです。

日本の国際バカロレア学習者の進路

では、実際日本の国際バカロレアを履修した生徒の進路はどうなっているのでしょうか。

おおよその数字ですが、IB中学校を卒業した子どもたち約半数はそのままIB教育の高校へ進学します。そして残り半数の約半分が進学校へ、残り半数が普通クラスへ進学すると言う調査があります。

国際バカロレアに残る子どもたちは、家族が国際バカロレア教育に理解があり、海外の大学への進学を見据えている場合がほとんどです。

県内外の進学校へ進学するケースでは、国際バカロレアの教育を受けては見たものの国内の名門大学への進学を目指すので、通常の進学校を受験することが多いようです。ある調査によれば、家族の、特に父親の価値観が影響しているようです。特に国内の国公立大学の理系学部を目指す場合、英語での教育に労力を割くよりも、通常の受験対策の方が有効だと見ているようです。

そして普通クラスに進学する場合です。この場合は生徒自身の意思が多いようです。生徒によっては英語漬けの生活にうんざりしてしまったり、タスクに追いかけられるよりは部活に力を入れたりするなど、自分のペースで勉強したいと思う生徒がいます。バカロレア教育のカリキュラムは国際的な人材を育てるのに有効かもしれませんが、期限内に課題提出が求められるバカロレア教育に合わない子どもたちもいることを忘れてはいけません。

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世界の大学を目指す

国際バカロレア資格は国によって違いはあるものの大学入学資格として幅広く受け入れられています。例えば英国の大学では、中央機関(UCAS)が国際バカロレアや英国の共通試験であるAレベル等のスコアの統一的な換算表を作成し、各大学が国際バカロレアのスコアを、入学オファー等を行う際の目安として活用しています。そしてアメリカの大学では、共通試験(SAT等)や高校の成績等を総合的に評価して入学者選抜を行っていますが、選抜制の高い大学等において、国際バカロレアの履修を推奨又は積極的に考慮するケースも多く見られます。さらに多くの国では国際バカロレアの上級レベル科目(HL)において一定の得点を取得した生徒に対して、当該科目に相当する一部科目について、入学後の履修免除(単位認定)等の特典を付与するケースも見られます。世界の大学を目指すならば、国際バカロレア資格の取得は間違いなく有利に働くことでしょう。

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日本国内の大学を目指す

国内でも多くの大学でAO入試や帰国子女特別選抜等の出願資格の一つとしてバカロレア資格の取得が募集要項に明記されており、所定の要件を満たす場合には、この制度により大学入試を受験することが可能です。国際バカロレアのスコアとともに、必要に応じ、小論文、面接などを総合して選抜を行っている大学が多く見られるのです。

国際バカロレアを活用した大学入試

国際バカロレア資格は海外だけでなく、国内の大学を受験する際も役に立つ資格です。日本国内でも国際バカロレアを活用した大学受験 (IB入試)を実施する大学は2021年3月時点で60以上に及び、近年は医学部医学科の受験枠を設けるところもあります。「国境なき医師団」などに憧れ、バカロレア学習を受けながらも医学部を目指す生徒にとっては最適な入試制度といえるでしょう。

気をつけなければいけないのは、バカロレアはあくまで「世界基準の教育を受ける」と言う目安であって、「受験を有利に進めるためのツール」ではないと言うことです。バカロレアを受験に対する「ツール」として扱ってしまうと、「せっかくバカロレアが受けられる学校に入学させたのに」という思いが強くなり、子どもたちの思う将来と親の思いが離れていってしまいます。

バカロレア教育の本質は、生涯学び続ける姿勢を身につけることや、自分自身で考えて判断し、より良い人生を遅れるようになることです。たとえ途中でバカロレア教育から離れたり、受験に活かすことができなかったりしても、子どもたちの中にその理念や考え方は生きていくことでしょう。

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